ICD・ペースメーカーセンター
植込み型除細動器(以下、ICD)やペースメーカーは体内に機器を植込む手術が必要であり、植込み後は機器の違和感や患者さまの状態により日常生活制限が必要となる場合があります。患者さまがICDやペースメーカー植込み後に起こりえる日常生活の変化について理解し機器と共に生活していくことに対し『自己決定』をすることが重要です。
ICD・ペースメーカーセンターとは?
ペースメーカーやICD植込み手術を受ける患者さまに対して、それぞれの機種の特徴を理解・把握した上で患者さまのケアにあたる必要があります。ペースメーカーやICD植込み決定から、入院中、退院後の生活も含め継続的なサポートができるよう当センターは開設されました。
患者さまが自分の疾患やICD、ペースメーカーなどの機器について十分に理解し、納得したうえで手術が受けられるよう専門スタッフ(看護師・臨床工学技士)が医師と協力し対応しています。手術後も入院中から退院後の外来通院を含め、機器の調整、創部の管理、日常生活に関する相談に対応しています。異なる職種が協同し、それぞれの専門知識・技術を活かすことで患者さまがその人らしい日常生活を送ることができるよう継続的なサポートを行っています。
ICD植込み患者に対し、ICD作動時には専門スタッフが速やかに対応できるような体制を整えています。
植込み機器の特徴
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ペースメーカー
徐脈性不整脈は、正常な心拍動を下回ることで全身に必要な血液が十分に行きわたらない状態となります。その結果、めまいや息切れ、倦怠感などの症状が出現します。
また、一時的に意識が遠くなり倒れてしまうこともあります。このような徐脈性不整脈にペースメーカー治療は有効です。
ペースメーカーは、患者さまにとって必要な心拍数を下回る場合に心臓に刺激を与え心臓を拍動させます。必要な心拍数が維持されている場合、ペースメーカーは刺激を与えることはせず、心臓の動きを見守っています。
条件付きMRI対応ペースメーカーなど
現在、国内ではペースメーカーに限らずICD(植込み型除細動器)やCRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)などもMRI対応のものが増えており、それらの植込みを当院でも行っています。
リードレスペースメーカー
リードレスペースメーカーは、従来のペースメーカーのように本体を皮下に植込むのではなく、カテーテルを用いて直接心室(心臓の中)へ留置できます。リードレスペースメーカーの植込みは適応疾患により植込みができない場合もあります。 -
ICD(植込み型除細動器)
頻脈性不整脈のうち、心室頻拍・心室細動は命にかかわる重篤な不整脈です。
心室頻拍・心室細動が持続すると心臓が全身へ血液を送り出すためのポンプ機能が破綻し、血圧低下や失神、痙攣をおこすこともあります。これらの不整脈が持続すると死に至ります。
ICDは、心室頻拍・心室細動を感知し心臓に電気ショックを与えることで不整脈を停止させ、正常な脈に戻す機器です。
S-ICD(皮下植込み型除細動器)
皮下植込み型除細動器(以下、S-ICD)は2016年から当院で植込み手術を行っています。
S-ICDは従来のICDと異なり、静脈から心臓にリード線を挿入することなく不整脈に対して電気ショック治療を行う器械です。S-ICDは誰にでも植込むことができるわけではなく適応となる疾患や植込み可能かどうかの適応検査を実施し植込みが可能と判断された場合に使用できます。 -
CRT-P(両室ペースメーカー)/CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)
CRTは心臓再同期療法を意味します。心臓から全身に血液を送り出す心室全体の動きを同期させることで心臓のポンプ機能を調節し、血液の拍出を改善します。
CRT-DはCRT-Pに除細動機能を持たせた機器です。